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心理学用語集: 精神保健

2 - 心理療法ケア・精神保健 > 93- 精神保健

 ここでは、被支援者だけでなく、一般の人々に対する予防的な支援である「精神保健(心の健康や疾病予防を図る活動)」についてまとめます。
精神保健は、臨床心理士の専門業務における「地域援助」の活動に含まれ、公認心理師の業務の1つである「心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供」に該当します。



コミュニティ心理学

 精神保健は「公衆衛生学」及び、「コミュニティ心理学」に含まれていると考えられます。

「コミュニティー心理学」は、1965年にボストンでの「地域精神衛生に携わる心理学者の教育に関する会議」において旗揚げされました。

 コミュニティー心理学は、個人ではなく、学校・職場・地域社会などマクロの世界を扱い、心理的な支援だけでなく、社会に働きかけることでの支援を行います。
具体的には、地域社会で生活を営む人々に対する「心の支援・社会的能力の向上・生活環境の整備・心に関する情報の提供」などを行います。

  1. <コミュニティー心理学の理念>
  2. 1. コミュニティー感覚を持つ
  3. 2. 社会的文脈で対象者をとらえる
  4. 3. 治療より予防を優先させる
  5. 4. 病理性より健康性に焦点を当てる
  6. 5. 専門家と非専門家が協働すること

予防の分類

 精神保健における予防の分類としては、「キャプラン(Caplan,G)による分類」と「Institute of Medicine(IOM)による分類」をまとめます。

キャプラン(Caplan,G)の予防の分類:
1次予防
(一次予防)
発生予防。ある集団内において当該の問題が新たに発生しないようにすること、その問題の発生率を減らすこと。
(市民講座などの啓発活動、健康教育、予防接種等)
2次予防
(二次予防)
重篤化予防。問題がすでに発生していてもそれ以上深刻化する前に介入し、問題を最小限に抑えることを目指す。そのためにスクリーニングなどをもちいて早期発見・早期対応が目指される。(定期健診など)
3次予防
(三次予防)
再発予防。当該の問題が発生した後に、その問題が悪化したり再発しないようにすることである。(リハビリテーション)


Institute of Medicineの予防の分類:

 IOMは、メンタルヘルス問題への対応として、予防・治療・維持の3レベルを設定しており、予防を「診断可能な障害の発生以前に行われる対応」のみに限定しています。

普遍的予防 一般大衆、あるいは、リスクが高まっていると判断されていない人々への対応
選択的予防 生物的・心理的・社会的なリスク要因に基づき、精神障害を発症する可能性が平均よりも高い人々への対応
指示的予防 精神障害の予兆となるような軽微な兆候を示しているものの、現時点ではまだ診断基準を満たしていない人々への対応


予防の方法

 予防の方法には、大きく「教育的・臨床的心理学的予防」と「社会システム的・公衆衛生的予防」の2種類の方法があるとされます。
 予防の効果と費用対効果の上では、「社会システム・公衆衛生的予防」が優れているとされます。

  1. 教育的・臨床心理学的予防:
     小集団を対象として、心理教育的グループ等を用いてスキルや知識などに教育する。
  2. 社会システム的・公衆衛生的予防:
     サポートシステムの強化、薬物への規制、経済的調整(税金の課税)などによって社会的環境を変えること。

 予防においては、下記の「予防の方程式」を念頭におくことが役立つとされます。ターゲットする集団内の発生率を減らすには、防御要因を増やし、リスク要因を減らすことが必要となります。

<予防の方程式>
[発生率]=リスク要因÷防御要因

  1. リスク要因=「ストレス」+「脆弱性」
  2. 防御要因=「コーピングスキル」+「自尊心」+「ソーシャルサポート」

ソーシャルサポート:

 ソーシャルサポートとは、「ある人を取り巻く、家族、友人、地域社会、専門家、同僚などから受ける様々な有形・無形の援助」をさします。Caplan,G(キャプラン)により概念化されたものです。

 ソーシャルサポートは、精神的・身体的健康に良い影響を与えるという実証的な研究がなされており、精神的健康度の予測力は、実行されたものよりも「知覚されたサポート」の方が高いとされます。 います。

ソーシャルサポートが健康に及ぼす影響については、「直接効果」と「緩衝効果(緩和効果)」があります。

  1. 直接効果:
     ストレスの高低にかかわらず得られる心身に対する直接的な効果です。
  2. 緩衝効果(緩和効果):
     ストレスがその人の処理能力を超えた時に及ぼす効果です。ストレスが低い時は効果につながりません。
    「緩衝効果の限界」とは、緩衝効果はストレッサーが中程度ぐらいまでであり、ストレッサーが極端に強くなると、サポートの有無に関わらず、心身の状態が悪化することをさします。

 ソーシャルサポートは「情緒的サポート・道具的サポート・情報的サポート・所属的サポート」の種類に分類されます。
(詳細:▼ ソーシャルサポートの分類)


ソーシャルサポートネットワークアプローチ:

 ソーシャルネットワーク・アプローチ(社会的支援ネットワーク・アプローチ )とは、個人をとりまく「インフォーマル・サポート」(家族、友人、近隣、ボランティアなどによる援助)と、「フォーマル・サポート」(公的機関やさまざまな専門職による援助)に基づく援助関係の総体を指します。

下記のようなサポートシステムの繋がりによって援助が行われます。

  1. 家族、隣人などの「自然発生的に存在するサポートシステム」
  2. セルフヘルプグループなど「意図的につくられるサポートシステム」
  3. 専門機関など「社会制度化されているサポートシステム」
コンボイモデル・ソーシャルコンボイ:

 「コンボイモデル」とはソーシャルサポートネットワーク(社会的支援)のことであり、自らを取り巻く様々な関係の人に守られながら、人生の局面を乗り切っていく様子のことです。
 ソーシャルコンボイとは個人を中心とした多層的な社会的ネットワークとされ、内側の層ほど親密度高(配偶者、親友など)であり、外側の層ほど役割と関連し、時間的変化が生じやすい とされます(職場の同僚、地域住民など)。



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