ここでは、「がん・難病等の心理的支援」及び、「緩和ケア」についてまとめます。
用語:サイコオンコロジー / 難病等の支援 / 緩和ケア / 疼痛管理・支援
「サイコオンコロジー(精神腫瘍学)」とは、がん医療における「心」を専門とする学問や活動のことです。
「がんが患者やご家族、スタッフ等の精神面に与える影響」と「精神的・心理的因子が、がんに与える影響」について検討することを目的とします。
サイコオンコロジーに基づく心理的支援としては、下記のようなものが挙げられます。心理的苦痛や、社会的支援は、疼痛(痛み)と関連していることが報告がされています。
がん患者の自殺率は一般人口の自殺率より高い事が報告されています。がんそのものに起因する症状と、社会経済的、心理的及び実存的問題に対する包括的アセスメントと、多職種連携による支援が重要と考えられます。
難病とは、「発病の機構が明らかでなく、治療法が確立していない希少な疾病であり、長期療養を必要とするもの」をさします。
「難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)」によって、指定難病は「患者数が人口の0.1%未満であって、客観的な診断基準等が確立しているもの」と定められています。
指定難病にて対しては、「医療費助成」が提供されます。
障害者総合支援法における難病の対象としては、「発病の機構が明らかでないことや、患者数が人口の0.1%未満であることを条件としない難病」となります。
300以上の疾病が対象疾病とされており、患者は、障害福祉サービスが利用することができます。
小児医療の発展により、疾患の長期生存が可能となり、小児の慢性疾患が増加、多様化しています。
日本では現在、14疾患群700以上の疾病が小児慢性特定疾病として認定されています(がん、腎疾患、呼吸器疾患、心疾患、内分泌疾患、糖尿棒、神経・筋疾患)。
小児治療においては、下記のような援助や配慮が必要となります。
「緩和ケア」とは、病気に伴う心と体の痛みを和らげることであり、本人やその家族が自分らしくすごせるように支えることを目標とします。
WHO定義によると「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患早期より疼痛、身体的問題、心理社会的問題、スピリチャルな問題に関して、適切は評価を行い、それらの問題が障害とならないように予防、対処することで、人生の質(QOL)を改善するためのアプローチ」とされています。
がんや難病等の医療において、緩和ケアは重要な支援となっており、日本での緩和ケアは、「がん対策基本法とがん対策推進基本計画」によって推進されています。
緩和ケアは、入院中は「緩和ケア病棟」、「緩和ケアチーム」によって受けることができます。
緩和ケアチームは、身体症状や精神症状を担当する医師、緩和ケアチームでの活動を専門的に行う看護師、薬剤師、心理士、ソーシャルワーカーなどの専門家が、状況に応じて診療に当たります。
外来では「緩和ケア外来」でうけることができます。また、「在宅緩和ケア」、「介護施設での緩和ケア」もあります。
疼痛(痛み)の種類には,侵害受容性疼痛(ケガの痛み),神経障害性疼痛(坐骨神経痛など),心因性疼痛(身体症状症)などといった種類があります。
疼痛に関するガイドラインには「がん疼痛治療ガイドライン」といったものがあります。鎮静補助薬やオピオイド等による対応が記載されています。
鎮静補助薬には、抗うつ薬も含まれています。
( 補足: ▼ オピオイドの副作用 )
痛みの体験(疼痛体験)を構成する要素には下記の3つがあるとされます。
ゲートコントロール理論とはP. WallとR. Melzackが提唱したものであり,「疼痛体験(痛み)は,末梢から中枢の一方向の感覚ではなく,中枢からの認知や感情などの相互的な関与によって作られる」という理論です。
疼痛部位をなでると,痛みが緩和されることを説明するものです。
( 補足: ▼ ゲートコントロール理論 )