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公認心理師試験用語集 : 公認心理師の職責概要

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 公認心理師とは、公認心理師法を根拠とする日本の心理職国家資格です。公認心理師の業務及び職責の概要について説明します。

用語: 公認心理師の業務(4業務) / 公認心理師の職責公認心理師の法的義務(罰則・登録の取り消し) / 資格と試験



公認心理師の業務
 公認心理師の目的は、「国民の心の健康の保持増進に寄与すること」です。

公認心理師法」は、この目的のために公認心理師の資格を定めて、業務の適正を図る法律です(法第1条)。
 公認心理師の業務として、下記の4つが公認心理師法 [法第2条]に定めれています。「要心理支援者」とは心理に関する支援を要するものをさします。

  1.  要心理支援者の心理アセスメント(心理状態の観察とその結果の分析)
  2.  要心理支援者への支援(相談、助言、指導、その他の援助を行う)
  3.  要心理支援者の関係者への援助(家族等に対する相談、助言、指導、その他の援助)
  4.  心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供(国民全体に対して)

 診断は、公認心理師の業務ではありません。心理検査等の結果を受けて診断を行うのは、医師の業務です。
 公認心理師の業務は、法律で規定されているため「国民からの負託」として位置付けられ、適正な業務が求められ信用を常に高める必要があります。



公認心理師の資格と試験:

 公認心理師は、「公認心理師試験」に合格した者が資格を有する国家資格です。下記にその特徴をまとめます。

  1. 公認心理師試験の主務大臣は「文部科学大臣、及び厚生労働大臣」です。公認心理師登録証の交付も行います。
  2. 公認心理師試験に合格した者は,公認心理師登録簿への登録を受けることで,公認心理師登録証の交付がされます。
  3. 公認心理師の資格は、一定年数ごとに更新する必要はありません(臨床心理士資格は、5年ごとに更新が必要)。
  4. 公認心理師は「名称独占資格」です(名称の使用制限[法44条])。公認心理師以外がその名称を使用した場合は罰則が科されます(法49条)。

公認心理師になれないもの:
 下記に該当する場合は公認心理師になれません(法第3条)。

  1. 心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの
  2. 禁錮以上の刑に処された場合(執行後2年間を経過しない者)
  3. 公認心理師の罰則や、その他保健医療・福祉・教育の法律で、罰金の刑を処された場合(執行後2年間を経過しない者)
  4. 公認心理師の登録を取り消され、2年を経過しない者(法32条:登録取り消し


公認心理師の職責

 公認心理師の職責として、下記の4つが挙げられます。

  1. 保健医療、福祉、教育等その他の分野の関係者等との連携:
     多職種連携・地域連携主治医の指示を受ける[法42条]
  2. 秘密保持義務
     公認心理師でなくなった後でも適用。但し、法手続きに基づく理由や人命にかかわる非常事態などの正当な理由がある場合は除く[法41条]
  3. 信用失墜行為の禁止:
     違法行為だけでなく、社会的な信用を失う行為の禁止 [法40条]
  4. 資質向上の責務
     生涯学習。自己研さんと相互研さん [法43条]

 1つ目の「法42条」(保健医療、福祉、教育等その他の分野の関係者等との連携)に関連する用語として「多職種連携地域連携」と「チーム医療・主治医の指示」を説明します。

多職種連携・地域連携

 「生物心理社会モデル」を鑑み、要心理支援者に対して包括的(総合的)な支援を行うためには、多種連携や地域連携が必要不可欠とされます(要参照:チーム医療)。業務だけでなく、業務に関連した研究会や勉強会を通した連携も行います。
 連携のためには、情報共有だけでなく「心理的アセスメント」を共通言語として共有すること、専門用語の多用は控え、平易・簡易な表現をする事が重要となります(参照:所見作成)。

  1. [当事者]: 患者や家族など
  2. [生物]:
     医師、看護師、言語聴覚士、理学療法士
  3. [心理]:
     公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士、認定心理士など
  4. [社会]:
     精神保健福祉士、社会福祉士、児童福祉司、教員、スクールカウンセラー、産業カウンセラーなど
  5. [地域]:
     医療機関、福祉施設、行政機関、教育機関、企業、など
チーム医療・主治医の指示を受ける >

 公認心理師は、要心理支援者に支援業務に関わる主治の医師があるときは、その指示を受けなければならないと定められています [法42条2項](支援業務に関わる主治の医師=主に、精神科医と理解される)。
 「チーム医療」「生物心理社会モデル(発達・変容*)」「要心理支援者の尊重」の観点からも、主治の医師の治療方針を公認心理師が承知して尊重する必要があるとされます。



公認心理師の法的義務

 公認心理師に関する法的義務が、 罰則 [法46条/法49条]と登録取り消しなど [法32条]に定められています。

罰則 [法46条/法49条]:
  1. 秘密保持義務[法41条] の規定に違反した者は、1年以下の懲役または、三十万円以下の罰金に処する。[法46条]

 公認心理師の名称の使用に関して、下記に該当する場合は三十万円以下の罰金に処することが,定められています。[法49条]

  1. 「公認心理師でない者」がその名称を使用した場合
  2. 公認心理師が登録取り消し等でその名称使用の使用を停止を命じられた期間中に、その名称を使用した場合
登録取り消しなど [法32条]:
  1. 公認心理師法の規定に違反した場合
    「秘密保持義務」[法41条]
    「信用失墜行為の禁止 (飲酒運転なども対象となり得る)」[法40条]
    「主治医の指示を受ける」[法42条]
  2. 第3条の下記に該当する場合
    「心身の故障により公認心理師の業務を適正に行うことができない者として文部科学省令・厚生労働省令で定めるもの」(改正後2019/12/14施行)
    「禁錮以上の刑に処された場合(執行後2年間)」
    「公認心理師の罰則や、その他保健医療・福祉・教育の法律で、罰金の刑を処された場合(執行後2年間を経過しない者)」
  3. 虚偽又は不正の事実に基づいて登録を受けた場合

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