労働法の分野の法令は数が多く、社会状況の変化に応じて改正も激しいため、常に最新の情報や知識を得る必要があります。
ここでは、「労働契約に関する法規制」・「安全配慮義務」と、「労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)」ついてまとめます。
用語:労働契約 / 安全配慮義務(労働契約法) / 労働三法(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)
「労働契約(雇用契約)」とは、労働者が使用者(会社など)に使用され労働し、使用者がこれに対して賃金を払うことを約束する、労働者と使用者の相互間の契約です。
労働契約だけでは、労働者が不利な立場になる恐れがあるため、下記のような法令や取り決めなどによって、規制が加えられています。
法令や取り決めの効力の優先順位は、下記の通りとなります。
法令としては、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などが該当します。
労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などは、「強行法規」と呼ばれ、当事者間の合意の有無にかかわらず当事者を起立し、労働基準監督署により使用者への指導、監督や罰則が科される法律です。
※労働基準監督署とは、労働基準法等に基づいて、事業場に対する監督及び労災保険の給付等を行う厚生労働省の出先機関。
労働協約とは、使用者(事業主や経営陣、労務人事担当など)と労働組合との間の取り決めです。労働条件や待遇などが含まれます。
就業規則とは、労働者の就業上の規律及び労働条件に関する具体的な規則です。常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成が義務付けられています。
労働契約法において「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務を負うこと」が規定されています。
使用者は、労働者の健康管理に対して民事上の「安全配慮義務」の責任もあり、果たされない場合は損害賠償責任が課されます。
(労働契約法は、個別労働関係紛争を解決するための民法の特別法としての位置づけ。労働基準監督所の対象外となる。)
労働三法とは、労働者の権利を具体的に定めた法律であり、「労働基準法」、「労働組合法」、「労働関係調整法」の3つをさします。
労働基準法とは、労働条件の最低基準を定めた法律(1947年制定)です。賃金、労働時間、休憩・休日、時間外労働、雇用の制限などについて規定しています。
労働基準法では、時間外・休日労働は禁じられていますが、「労使協定(第36条に基づく36協定)」を結び、行政官庁に届けた場合は、時間外・休日労働をさせることができます。時間外労働の上限時間は平成30年に改正されています。
補足#1: 「▼ 時間外労働の上限時間」
補足#2: 「▼ 年次有給休暇 」
労働組合法とは、労働者が使用者との交渉において対等の立場にたち、労働者の地位の向上を図ることを目的とした法律です(1945年制定、1949年全面改正)。
労働三権である「団結権、団体交渉権、争議権」を具体的に保障し、労働組合、労働協約(使用者と労働組合との取り決め)などについて規定しています。
労働関係調整法とは、労働争議の予防、解決を目的とする法律です(1946年制定) 。
「労働委員会」による裁定を行うこと、その調整方法などを規定しています。