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公認心理師試験用語集 : 産業・労働分野の法規や制度(労働者派遣法)

5 - 法律・行政産業・労働に関する法律 > 74- 労働者派遣法

 ここでは、「労働者派遣法」(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)についてまとめます。

用語:労働者派遣事業労働者派遣法雇用安定措置同一労働同一賃金



労働者派遣事業

 労働者派遣事業とは、派遣元事業主(派遣会社)に登録している労働者(派遣労働者)を、派遣先(取引先)となる事業所へ派遣して、かつ派遣先担当者の指揮命令のもとで労働を提供する雇用形態とされます。

常用型派遣と登録型派遣:

 派遣労働者は、派遣会社の正規雇用社員である「常用型(無期雇用)派遣」と派遣会社の非正規雇用社員である「登録型(有期雇用)派遣」に分かれます。
 登録型派遣の場合は、派遣先企業の仕事の依頼が有るときのみに、期限付きで派遣会社と労働者の間で雇用契約が結ばれます。

派遣社員と労働安全衛生法:

 「労働安全衛生法」において、事業者による安全衛生管理体制の構築(衛生委員会の設置や産業医の選任など)、健康診断の実施、ストレスチェック制度の実施などが義務づけられています。
 派遣社員においては、「派遣元」の事業者が派遣労働者の雇用主として安衛法上の責任を負います。
 ただし、派遣先の事業者も派遣労働者を含めて安全衛生管理体制を行う必要があります。ストレスチェック制度においては、個人対応は「派遣元」が行いますが、集団対応(集団分析やその対応)は派遣先でも行うことが望ましいとされます(参照:ストレスチェック制度実施マニュアル)。




労働者派遣法

 労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図る法律であり、1985(昭和60)年に公布されました。
 その後、派遣事業の対象となる業種の拡大、派遣期間に関する改正等が行われました。2020(令和2)年4月時点の規定のうち「派遣受入れ期間」と「派遣労働者の同一労働同一賃金」について記載します。


派遣受入れ期間(上限3年)と雇用安定措置:

 2015(平成27)年の労働者派遣法の改正によって、「すべての業種」において同じ事業所で3年を超えて働くことは、基本的にできなくなりました(専門知識や技術などを要する専門26業種も、それ以外の業種もすべてが対象。事業所とは、支店などをさし、場所的等が独立している労働場所)。
 但し、下記の場合のような場合は対象外となり、3年を超えて就業する事が可能です。

  1. 派遣元(派遣会社)で無期雇用されている派遣労働者
  2. 60歳以上の派遣労働者
  3. 派遣先が事業所の「過半数労働組合等(労働者の過半数で組織する労働組合等)」から意見を聴取した上で、3年を限度として派遣可能期間が延長される場合
     この時、同じ労働者は同じ組織単位(課など)では働けず、事業所の異なる組織へと変える必要がある

 派遣労働者が継続して同じ事業所に3年派遣される見込みとなった場合には、派遣元事業主(派遣会社)に対して「雇用安定措置の義務」が生じます(1年以上派遣される見込みとなった時点で「努力義務」が生じる)。

 派遣労働者が就業継続を希望する限りは「派遣会社」は下記のいづれかの雇用安定措置を行う義務があります(引用)。

  1. 派遣先への直接雇用の依頼(派遣先が合意すれば、派遣先の社員となる)
  2. 新たな派遣先の提供
  3. 派遣元(派遣会社)での派遣労働者以外としての無期雇用
  4. その他雇用の安定を図るための措置

派遣労働者の同一労働同一賃金:

 2020(令和2)年から、派遣労働者の同一労働同一賃金が適用されました(厚生労働省)。
 派遣元事業主(派遣会社)は、派遣労働者の公正な待遇を確保するために下記のいづれかの待遇決定方式を行わなければなりません。

  1. 派遣先に雇用される通常の労働者との間の均等・均衡待遇の確保:
     派遣会社は、派遣先の一般労働者の待遇情報を元にして、派遣労働者の待遇を確保し、賃金を決定する義務があります。
  2. 一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保:
     派遣会社は、派遣労働者を含めた労働者の過半数で組織する労働組合等労働者等との間で労使協定を締結し、一般賃金と同等以上の賃金の額にする義務があります。
     一般賃金とは同種の業務に従事する一般の労働者(無期雇用かつフルタイムの労働者)の賃金であり、基本給・賞与・手当・退職金等が含まれます。


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