ここでは、「育児介護休業法」、「ワーク・ライフ・バランス」及び、「治療と仕事の両立支援」についてまとめます。
用語:育児介護休業法 / ワーク・ライフ・バランス / ワーク・ファミリー・コンフリクト(スピルオーバー) / 治療と仕事の両立支援
育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、育児及び家族の介護を行う労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるよう支援することにより、その福祉の増進と、経済及び社会の発展に資することを目的としています。
1992年に施行され、2009・2016・2017(平成21・28・29)年、さらに2019年(令和元年)にも改正されています(参照:厚生労働省)。
平成29年改正のおける「育児休業・休暇」と「介護休業・休暇」に関する内容をそれぞれまとめます。
育児休業 |
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| 子の看護休暇 |
| 労働時間等に関する制度 |
「3歳未満の子を養育する労働者」:
「未就学の子を養育する労働者」:
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介護休業 |
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| 介護休暇 |
| 労働時間等に関する制度 |
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ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現した社会とは「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」とされます(仕事と生活の調和憲章)。
具体的には下記の3つの実現が挙げられており、そのための行動指針や、数値目標が設定されています(行動指針)。
ワーク・ファミリー・コンフリクトとは「個人の仕事と家庭からの役割の要請が、互いに両立しないような役割葛藤の形態」とされます。
「仕事領域から家庭領域への葛藤(仕事→家庭)」と「家庭領域から仕事領域への葛藤(家庭→仕事)」の2つの方向があるとされます。
一方で、仕事と家庭のポジティブな関係を示す「ワーク・ファミリー・ファシリテーション」があります。
ワーク・ファミリー・ファシリテーションとは仕事と家庭の両方に携わる事で得られる資源が、相互に役割の遂行を容易にする相乗効果の形態とされます。
「スピルオーバー」とは「人の一方の役割における状況や経験が、他方の役割における状況や経験にも影響を及ぼすこと」を意味します(文献 )。
スピルオーバーには、悪い影響を及ぼすネガティブ・スピルオーバーと、良い影響を及ぼすポジティブ・スピルオーバーがあるます。
仕事と家庭の役割の関係において、ネガティブ・スピルオーバーは「ワーク・ファミリー・コンフリクト」と類似した概念を意味しています。逆に、ポジティブ・スピルオーバーは「ワーク・ファミリー・ファシリテーション」に類似した概念です。
「クロスオーバー」とは「個人の感情や態度が別の個人に伝播する現象」をさします。
個人のネガティブ・スピルオーバーが、配偶者や会社の同僚などのストレスに影響を与えることはクロスオーバーにあたります。
ネガティブだけでなく、ポジティブなクロスオーバーもあります。
仕事を持ちながら、がんで通院している者の数は増加しており、事業場における疾病を抱えた労働者の「治療と仕事の両立のためのガイドライン」が厚生労働省から出されています(ガイドライン )。
ガイドラインは、事業者は疾病にかかった労働者に対しても就業の機会を失わせないよう努めなければならないという、労働安全衛生法・労働安全衛生規則を根拠としています。
ガイドラインの対象は「反復・継続して治療が必要となる疾病」であり、「雇用形態に関わらず、全ての労働者」となっています。
反復・継続して治療が必要となる疾病には「がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎、その他難病など」が挙げられており、メンタルヘルスに関する疾病も対象です。
事業者は「基本方針等の表明と労働者への周知、啓蒙活動、相談窓口や休暇・勤務制度の整備等」を行います。
ガイドラインには治療と仕事の両立支援を行うに当たっての留意事項として下記が挙げられています。