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心理学用語集: 尺度と代表値

6 - 統計・研究法統計 > 11- 尺度と代表値

 ここでは「尺度の種類」と「評定法」、及びある集団の特徴を示す「代表値」についてまとめます。
用語:尺度の種類(名義・順序・間隔・比率 / 質的・量的) / 評定法(一対比較法・順位法・評定尺度法) / 代表値(最頻値・中央値・平均値)



尺度・変数の種類

 「変数」とは「対象の特徴を表す値で、その値は対象によって変化する可能性があるもの」をさします。
 「尺度」とは「対象を評価するための基準や標準のことであり、変数を数値を対応させる基準」です。

 例えば、対象を人間とすると、身体的な「性別」は、男性または女性と変化する変数となり、「男性を1」、「女性を2」と数値に対応させたものが性別の尺度です。

 尺度には、「名義尺度」、「順序尺度」、「間隔尺度」、「比率尺度」の4つがあります。

分類 内容
名義尺度 分類やグループ分けするためのもの。数字は便宜上、分類するためだけに用いられている。

例)性別、名前、出身地、背番号など。順番や大小関係がないもの。

順序尺度 変数の間隔は等しいとは言えないが、順序や大小が関係があるもの。

例)スポーツの順位、ご飯のサイズ(大・中・小)など。

間隔尺度 変数の間隔が等しいもの。原点(原点=存在しない)を持たず、倍数関係に意味を持たない。

例)温度、カレンダー、時刻(時間ではない)、テストの点数など。
 気温0度とは、温度が存在しないわけではないので、温度は間隔尺度。

比率尺度
(比例尺度)
変数の間隔が等しく、原点を持つもの(何も存在しないという状態があるもの)。倍数の関係を持つもの。

例)重さ、長さ、経験年数など。6cmは2cmの3倍の長さと言えるのでcmは比率尺度。



質的尺度(質的変数)と量的尺度(変数):

 質的尺度(質的変数)とは、「分類や順序を区別するためのもので、足し算などの演算はできない尺度(変数)」です。
 量的尺度(量的変数)とは、「数値の間隔が意味を持ち、演算が行える尺度(変数)」です。
 尺度のうち、名義尺度と順序尺度は、「質的尺度」に分類され、間隔尺度と比率尺度は「量的尺度」に分類されます。
 量的変数は「離散変数」と「連続変数」に分類されます。

  1. 離散変数:
     整数値しかとり得ないデータ。(例:人数や件数など)
  2. 連続変数:
     精度の高い測定法によればいくらでも正確な値(無限に詳細な値)が得られるデータ。(例:身長や体重など)

 (参照:独立変数・従属変数・剰余変数



評定法とその種類

 評定法とは事物や事象の特性を心理的尺度によって数量化する方法です。代表的な方法に「一対比較法」、「順位法(品等法)」、「評定尺度法」が挙げられます。

  1. 一対比較法
     2つ1組の刺激を提示し、2つの大小や好き嫌いを選択させる方法。データは、順位尺度となる。
  2. 順位法(品等法)
     複数の対象について、ある基準のもとに順位付けを行う方法。データは、順位尺度となる。
  3. 評定尺度法
     意味が反対の2つの言葉を両端に置き、その間を5〜7段階程度で区切った中の1段階を選択する方法。SD法、カテゴリー尺度法も含まれる。データは、間隔尺度となる。
    (関連:リッカート尺度


代表値

 代表値とは、ある集団の「標準を表す値」や、「中心的な位置を占める値」のことです。
 代表値には、「最頻値」、「中央値」、「平均値(算術平均)」の3つがあります。

 例) 国語の小テストを受けた5人の結果が、「5点、5点、10点、30点、50点」だった時の代表値は下表の通りです。

代表値とその特徴
最頻値:     
  1. 最頻値とは、最も度数(現れた回数)が多い値のことをさす。
     上記例にあげた小テストの最頻値は「5点」。2回現れている。
  2. 「名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比率尺度」のすべての尺度が持てる代表値である。
中央値
  1. 中央値は、値を小さい順に並べた時に、真ん中にくる値のことをさす。中央値が2つある場合は、その2つの値の平均値をとる。
     上記例にあげた小テストの中央値は「10点」。
  2. 「順序尺度、間隔尺度、比率尺度」が持てる代表値。名義尺度は、順番を持たないため中央値がない。
平均値(算術平均):
  1. すベての値を加算して、値の個数で割った値のことをさす。外れ値(極端な値)の影響を受けやすい。
     例にあげた小テストの平均値は「20点」(合計100点÷5人=20点)。
  2. 平均値は、値の演算が可能な量的尺度である「間隔尺度、比率尺度」が持てる値。「名義尺度と順序尺度」には平均値がない。

平均値は、外れ値(極端な値)の影響を受けやすいという特徴を持ちます。
 例えば、5人の年収が、「200万円、200万円、200万円、400万円、1億円」だとすると、平均値は2200万円となりますが、これは5人標準的な値とは言いにくいです。代表値としては、平均値よりも、最頻値「200万円」が適切と言えそうです。



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