ここでは、認知的発達である「ピアジェの認知発達段階説」と、心理的発達である「フロイトの心理性的発達理論」をまとめます。
また「コールバーグの道徳性発達」と「セルマンの役割取得(社会的視点取得)」についても記載します。
用語:
Piaget, J(ピアジェ)の提唱した認知発達段階説は、発達理論として非常に有名です。
ピアジェはこどもの認知機能(思考)の発達は、外界を認識する「シェマ(スキーマ構造)」の質的変化が4つの段階(感覚運動期, 前操作期, 具体的操作期, 形式的操作期)を経て進むと考えました。
( 補足: ▼ 同化・調整・均衡化 )
Freud,S(フロイト)は、リビドー(性的エネルギー)が年齢に応じた身体諸器官を通じて放出されると考える「心理-性的・心理-生物学的発達論」を提唱しました。
Freud,Sは、心理的発達理論の各発達期における、「固着」や「退行」によって性格や病理を説明しました。
「固着」とは、ある段階で刺激が不十分で欲求不満が大きいと次の段階に進めないことをさします。
「退行」とは、ある段階で刺激が過剰だと、不適応を起こし、前の段階に戻ってしまい、その時期特有の行動をとることをさします。防衛機制の一つです。
フロイトの心理的性的発達理論の5つの発達期である「口唇期」「肛門期」「エディプス期(男根期)」「潜伏期」「性愛期 (性器期)」をまとめます。
発達段階/時期 | 特徴 |
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口唇期 (こうしんき) 誕生〜1歳半 |
母親(乳房)との接触(甘えと受容)が見られ、依存的受動的な特徴が形成される時期です。 *固着、退行すると口唇期的性格(依存的で甘えん坊)が現れる。 |
肛門期 1歳〜3歳 |
排泄の「トイレットトレーニング」の時期(親からの躾の内在化)です。主張的能動的特徴の形成がされます。 *固着退行すると肛門期的性格(几帳面、厳格、けち)が現れる。 |
エディプス期 (男根期) 4歳〜6歳 |
「エディプスコンプレックス」が生じ、性的な役割を形成する時期です。 |
潜伏期 6歳〜思春期 |
性欲動が抑圧され、社会的規範の学習や知的活動にエネルギーが注がれる時期です。 |
性愛期 (性器期) 思春〜青年期 |
口唇期、肛門期、エディプス期の部分的欲動が統合され、性器性欲が優位となります。 全人格を認めた性愛が完成する時期です。 |
「エディプスコンプレックス」とは、異性の親に対する性愛的愛着を抱き、同性の親に対するライバル意識や嫉妬を抱く現象をさします。
エディプス期においては、「異性の親への愛情」→「同姓の親への敵対」→「同性の親からの迫害不安(男:「去勢不安」)」→「敵対心の抑圧/同一視」→「同性の親の内在化=超自我の形成」という過程を経ると考えられています。
Kohlberg,L(コールバーグ)の「道徳性発達」とSelman,RL(セルマン)の「役割取得(社会的視点取得)」の発達段階を下表にまとめます(引用:本間・内山,2013、伊藤,2017)。
道徳性の段階 |
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[ 段階0 ] 前慣習的。自己欲求希求志向:
善悪の判断は結果が良いか悪いかによる。 |
[ 段階1 ] 罰と従順(服従)志向:
権威や力といった一つの見方に固執。行動が意図に基づく事を理解している。 |
[ 段階2 ] 道具的相対主義(自己本位志向):
正義とは自分にとって価値ありと認められるもの。道徳性はギブアンドテイクの関係がある場合に成立。 |
[ 段階3 ] 良い子志向(対人関係調和/同調):
正義は黄金律として定義される。あらゆる見方を考慮し関係者の一致を目指す。 |
[ 段階4 ] 法と秩序志向:
正義は一般的他者、大多数の考え方によって定義される。社会道徳や社会的秩序を維持する。 |
[ 段階5 ] 社会契約的・遵法主義志向:
社会的秩序そのものでなく、法を合意によって変更できることを重視する。 |
[ 段階6 ] 普遍的な倫理原理志向:
人間の尊厳尊重という原理から、個別の場面の道徳を考える。 |
役割取得(社会的視点取得)の段階 |
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[ 段階0 ] 自己中心的役割取得(3歳〜6歳):
自己と他者が違う事は知っているが、それぞれのものの見方(考え方や感じかた)を区別することができない。 |
[ 段階1 ] 主観的役割取得(5歳〜9歳):
自己と他者それぞれのものの見方が似ているかどうかを区別することができるが、一つの見方にとらわれる。 |
[ 段階2 ] 自己内省的役割取得(7〜12歳):
他者のものの見方を意識し、それを整合させる事ができる。それぞれの他者の見方を関連づけて抽象化するまでは至らない。 |
[ 段階3 ] 相互的役割取得(10〜15歳):
自己と他者の相互のやり取りを第三者の視点から見ることができる。 |
[ 段階4 ] 社会・慣習システムの役割取得/象徴的役割取得(12歳〜大人):
社会的慣習は全ての集団の成員(他者)の立場や役割、経験にこだわらず必要であることが理解されている。 |