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心理学用語集: ピアジェとフロイトの発達理論

1 - 基礎心理学発達 > 43- ピアジェとフロイトの発達理論

 ここでは、認知的発達である「ピアジェの認知発達段階説」と、心理的発達である「フロイトの心理性的発達理論」をまとめます。
 また「コールバーグの道徳性発達」と「セルマンの役割取得(社会的視点取得)」についても記載ます。

用語:認知発達段階説 (Piaget) / 心理性的発達理論 (Freud,S) / エディプスコンプレックス道徳性発達 (Kohlberg) / 役割(社会的視点)取得 (Selman)



ピアジェの認知発達段階説

 Piaget, Jean(ピアジェ)の認知発達段階説は、発達理論として非常に有名です。
ピアジェは、外界を認識する「シェマ(スキーマ構造)」の質的変化が4つの段階を経て、子供の思考(認知機能)が発達していくと提唱しました。

 下記に、4つの発達段階である「感覚運動期」、「前操作期」、「具体的操作期」、「形式的操作期」をまとめます。


 感覚運動期: 0カ月〜24ヶ月(2歳)
 (永続性・表象機能の獲得)
 感覚と運動の協応により外界に適応する時期で、行動に対する結果から少しづつ行動を修正して適応行動パターン(シェマ)を獲得します。
 また、この時期に、「対象物の永続性の理解」や「表象機能」を獲得します。オペラント条件付け的ですが、あくまで感覚運動的レベルです。
 表象とは、対象のイメージのように、対象に対する抽出された情報を長期記憶に保持するために用いられる心理的な形式をいい、表象機能とは、目の前にないものを思い浮かべることを指します。
 表象機能を示すものとしては「延滞模倣」があります。延滞模倣は、観察した行動を時間が経過したあとで再生する(真似する)ことです。
 前操作期: 2歳〜7,8歳
 (象徴機能の獲得・直観的思考・中心化)
 「象徴機能」が発達し、行動に現れる時期です。象徴機能とは、現実にない物事を他のものに置き換えて表現する働きです。「ごっこ」遊びや、言葉(意味されるもの)の表現に見られます。
 象徴機能の後、4歳頃から「直観的思考」と呼ばれる段階に入り、推論に興味をもったり初期的な推論を行うようになります。
 また、前操作期の特徴としては「中心化(自己中心性)」が挙げられます。中心化とは「自分の知覚情報ですべてを判断する傾向」を指し、他者の視点や立場に立つことができません。
 *表象機能と象徴機能によって、「意味するもの」と「意味されるもの」が分かれ、言葉や記号を理解し、それを表現できるようになります。
具体的操作期: 9歳〜11,12歳
 (論理的思考・脱中心化・保存性)
 具体的な事物に対しての論理的思考(具体的操作)が、一応できるようになります。
 「脱中心化」が進み、自分と異なる他者の視点を持つようになります。
 物の形や状態を変形させても重量や体積は変化しないという概念である「保存性」や、ある変化を考えたとき、条件を変えるとその変化と逆の方向に変化が起こってもとの状態に戻る「可逆性」について理解します。
形式的操作期: 12歳〜
 (抽象的思考・仮説的思考)
 命題に対して仮説を取り上げて演繹的に推論し真偽を検証することを形式的操作といい、それができるようになるのがこの時期です。
抽象的仮説的思考」が成立します。



フロイトの心理性的発達理論

 Freud,S(フロイト)は、リビドー(性的エネルギー)が年齢に応じた身体諸器官を通じて放出されると考える「心理-性的・心理-生物学的発達論」を提唱しました。
 Freud,Sは、心理的発達理論の各発達期における、「固着」や「退行」によって性格や病理を説明しました。

 「固着」とは、ある段階で刺激が不十分で欲求不満が大きいと次の段階に進めないことをさします。
 「退行」とは、ある段階で刺激が過剰だと、不適応を起こし、前の段階に戻ってしまい、その時期特有の行動をとることをさします。防衛機制の一つです。

 フロイトの心理的性的発達理論の5つの発達期である「口唇期」「肛門期」「エディプス期(男根期)」「潜伏期」「性愛期 (性器期)」をまとめます。

    
発達段階/時期特徴
口唇期
(こうしんき)
誕生〜1歳半
 母親(乳房)との接触(甘えと受容)が見られ、依存的受動的な特徴が形成される時期です。
*固着、退行すると口唇期的性格(依存的で甘えん坊)が現れる。
肛門期
1歳〜3歳
 排泄の「トイレットトレーニング」の時期(親からの躾の内在化)です。主張的能動的特徴の形成がされます。
*固着退行すると肛門期的性格(几帳面、厳格、けち)が現れる。
エディプス期
(男根期)
4歳〜6歳
エディプスコンプレックス」が生じ、性的な役割を形成する時期です。
潜伏期
6歳〜思春期
性欲動が抑圧され、社会的規範の学習や知的活動にエネルギーが注がれる時期です。
性愛期
(性器期)
思春〜青年期
口唇期、肛門期、エディプス期の部分的欲動が統合され、性器性欲が優位となります。
全人格を認めた性愛が完成する時期です。

エディプスコンプレックス:

 「エディプスコンプレックス」とは、異性の親に対する性愛的愛着を抱き、同性の親に対するライバル意識や嫉妬を抱く現象をさします。
 エディプス期においては、「異性の親への愛情」→「同姓の親への敵対」→「同性の親からの迫害不安(男:「去勢不安」)」→「敵対心の抑圧/同一視」→「同性の親の内在化=超自我の形成」という過程を経ると考えられています。




道徳性発達と役割取得(社会的視点取得)

 Kohlberg,L(コールバーグ)の「道徳性発達」とSelman,RL(セルマン)の「役割取得(社会的視点取得)」の発達段階を下表にまとめます(引用:本間・内山,2013)。


Kohlbergの道徳性の発達:
 道徳性の段階
[ 段階0 ] 前慣習的。自己欲求希求志向:
 善悪の判断は結果が良いか悪いかによる。
[ 段階1 ] 罰と従順志向:
 権威や力といった一つの見方に固執。行動が意図に基づく事を理解している。
[ 段階2 ] 道具的相対主義(自己本位志向):
 正義とは自分にとって価値ありと認められるもの。道徳性はギブアンドテイクの関係がある場合に成立。
[ 段階3 ] 良い子志向:
 正義は黄金律として定義される。あらゆる見方を考慮し関係者の一致を目指す。
[ 段階4 ] 法と秩序志向:
 正義は一般的他者、大多数の考え方によって定義される。社会道徳や社会的秩序を維持する。


Selmanの役割取得(社会的視点取得)の発達:
 役割取得(社会的視点取得)の段階
[ 段階0 ] 自己中心的役割取得(3歳〜6歳):
 自己と他者が違う事は知っているが、それぞれのものの見方(考え方や感じかた)を区別することができない。
[ 段階1 ] 主観的役割取得(5歳〜9歳):
 自己と他者それぞれのものの見方が似ているかどうかを区別することができるが、一つの見方にとらわれる。
[ 段階2 ] 自己内省的役割取得(7〜12歳):
 他者のものの見方を意識し、それを整合させる事ができる。それぞれの他者の見方を関連づけて抽象化するまでは至らない。
[ 段階3 ] 相互的役割取得(10〜15歳):
 自己と他者の相互のやり取りを第三者の視点から見ることができる。
[ 段階4 ] 社会・慣習システムの役割取得/象徴的役割取得(12歳〜大人):
 社会的慣習は全ての集団の成員(他者)の立場や役割、経験にこだわらず必要であることが理解されている。


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