ここでは発達理論として下記の理論をまとめます。
Levinson,D(レビンソン)は、計画サンプリングした米国中年男性のインタビュー調査に基づき、独自のライフサイクル論を展開しました。
レビンソンは、「人生は約25年つづく発達期が繰り返され、各発達期は互いに重なる約5年の過渡期でつながっている」としています。
発達期は、4段階で「児童期と青年期」「成人前期」「中年期」「老年期」であるとしています。
そして、過渡期には「内的世界と外的世界」の変化が起こり、今までの発達期で用いてきた生活構造の作り変えが行われるとしています。生活構造とは、その人の自己と外界の境界にあって、自己と外界をひとつの形にまとめていた構造をさします。
過渡期としては、下記の3つがあります。
( 図: ▼ 発達期と過渡期の関係 )
レビンソンは、中年期は危機期である、すなわち「中年の危機」があると考えました(関連用語:人生の正午)。
それは、中年期には自己の内部だけでなく、外界との関係における葛藤である「若さと老い」・「破壊と創造」・「男らしさと女らしさ」・「愛着と分離」という葛藤が生じるためだとされます。
これらの葛藤が生じることで、アイデンティティの拡散・危機が生じやすいため、価値観・人生観の転換によるアイデンティティの再体制化が必要となります。それには、心身ともに変化に対応できるタフネスさや、柔軟性が重要となってくるとされます。
( 補足:▼ 空の巣症候群)
サクセスフルエイジングは、医学では「加齢を伴っても疾患や障害がない、またはそのリスク要因がなく社会参加をしていること」であり、心理学では「成長・発達の視点から想定される良好な状態」とされています( 良好な状態とは、「自己受容・人生の意味・環境制御・人間的成長・自律性・肯定的人間関係」の要素を示す)。
高齢者が直面する「老い・衰退」に適応し、サクセスフルエイジングを実現するための理論としては下記のようなものが挙げられます。
支援においては、ソーシャルサポート(ソーシャルコンボイ、フォーマル・インフォーマルサポート)が重要となるとされます。