ここでは、多職種と連携して支援が必要なケースである「自殺リスクへの対応」や「入院適応」についてまとめます。これらの内容は公認心理師の「保護義務」にも関連します。
用語:自殺リスクへの対応(リスク要因/ 対応方法 / ポストベンション)/ 入院適応
自殺は全世界で年間100万人以上(全死亡の2.5%)、日本では3万人弱という調査結果があります。
また、SNSの普及もあり、自殺報道の後に自殺が増加する危険性から自殺報道の在り方も問題となっています。(詳細: ▼ 自殺報道のガイドライン)
自殺の原因は複合的であり、WHO調査によれば自殺者の90%が何らかの「精神疾患の状態」であったと報告されています。
自殺の大多数は自殺念慮を有しており何らかの「自殺のサイン」を発しており、適切に対応すれば防ぐことができる社会的な問題であるとされています。
自殺の兆候(サイン)としては以下のようなものがあります。
自殺のアセスメントにおいて、公認心理師は自殺について話をすることをためらったり、避けたりせずに向き合います。
自殺念慮を持つ人は、「無力感、孤独感、自己評価低下、心理的視野狭窄、柔軟な思考の困難」などがあり、自殺を唯一の解決法だという短絡的で誤った結論へと誘導します。
一方で、「生き続けたいという希求もあり、誰かに気づいてほしい、理解してほしい」という希望もあります。
自殺のリスク要因としては、下記のようなものが挙げられます。
自殺念慮をもつ人の心理的視野狭窄などを軽減させるには孤立させずに、他者とのつながりをもつことが重要であるとされます。
具体的には「家族や友人など重要な他者からの支援」、「宗教、文化、民族的信条、社会とのつながり」、「精神保健サービス利用などによる社会的支援」などです。
自殺への対応としては下記のようなことが求められます(関連:秘密保護義務の例外)。
「ポストベンション」とは、不幸にして自殺が生じてしまった場合に、遺された人々に及ぼす心理的影響を可能な限り少なくするための対策のことです(参考)。
自然回復を原則とする災害等への危機介入の場合と異なり、心理的ディブリーフィングはポストベンションの重要な目的の一つです。職場におけるポストベンションの原則を下記にまとめます。
要心理支援者の精神症状の悪化、それに伴う身体的危険性が高まった場合は、入院による精神的身体的な医学的管理が考慮されます。
入院が必要と判断される場合は、「本人や家族に警察や保健所への連絡や専門医療機関受診を促し、確実な実行を確認する義務」があります(関連:精神保健福祉法)。
入院適用に際しては、制度の理解だけでなく利用すべき資源と日頃からの連携が必要です。
下記に入院適応が求められる障害をまとめます。