2019年の厚生労働省の調査結果から、自宅に半年以上閉じこもっている「ひきこもり」は15〜39歳が推計54万1千人、40〜64歳が推計61万3千人いることが報告されています。中高年のひきこもりは、7割以上が男性で、ひきこもりの期間は7年以上が半数を占めています。
ここでは、ひきこもり支援の施策やガイドラインについてまとめます。
用語:子ども・若者育成支援推進法 / ひきこもり地域支援センター / ひきこもり支援コーディネーター・サポーター / 関連機関 / 支援ガイドライン / アウトリーチ
ひきこもりの定義は「様々な要因の結果として社会的参加を回避し,原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念」とされます。
社会的参加とは「義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など」をさします。他者と交わらない形で外出している場合でも、ひきこもりに含まれます(引用 )。
ひきこもりの施策としては「子ども・若者育成支援推進法」や「ひきこもり対策推進事業」、「ふれあい心の友訪問援助事業」などが行われています(終了も含む)。
子ども・若者育成支援推進法は、2010(H22)年に施行された法律であり、「教育、福祉、雇用など各関連分野にわたる施策を総合的に推進する」とともに、「ニート、ひきこもりといった困難を抱える若者の方への支援を行うための地域ネットワークづくりの推進を図る」ものです。
「ひきこもり地域支援センター」は、その地域ネットワークを構成する機関とされています。
ひきこもり地域支援センターとは、ひきこもりに特化した第一次相談窓口としての機能を有する施設であり、都道府県・指定都市に配置されています。
ひきこもり地域支援センターには「ひきこもり支援コーディネーター」を置き、「第一次相談窓口」「他の関係機関との連携」「情報発信」の3つの事業を行います。
第一次相談窓口として、電話・来所による相談だけでなく、訪問による相談なども行います。
「ひきこもり支援コーディネーター」は、ひきこもり地域支援エンターに配置され、ひきこもりの状態にある本人、家族からの電話、来所等による相談や家庭訪問を中心とした訪問支援を行うことにより、早期に適切な機関につなぐ(自立への支援)役割を担います。
社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士等の有資格者が行います。
「ひきこもりサポーター」は、ひきこもりの発見や訪問支援や専門機関への紹介を行います。ひきこもり支援に関心がある者であれば、ひきこもりサポーター養成研修を受けることでサポーターとして登録されます。
ひきこもり地域支援センターが連携し、ひきこもり支援に協力する機関としては下記が挙げられます。
ひきこもりは原則として統合失調症の症状による現象は除くとされていますが、実際には確定診断前の症状を有している可能性があるとされています(ガイドライン )。
ひきこもりの評価には、下記の要素が重要とされます。
ひきこもりの支援には、地域連携ネットワークを構築し(教育、保健、福祉、医療などの複数の専門機関による多面的な支援)、訪問支援(アウトリーチ型支援)も用いながら、支援段階にあわせて家族や当事者への支援を実施する事が重要とされます。
引きこもりの支援には、当事者とその周囲の状況の全体的な評価(多次元モデル)に基づいて組み立てられるべきだとされています
ガイドラインにあるひきこもり支援の留意点についてまとめます。
支援機関に求められる視点 |
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ひきこもりの長期化を防ぐために、支援機関は当事者の来談・受診をできるだけ早く実現することが重要とされます。
| 家族と当事者への支援 |
| 訪問支援:アウトリーチ型支援 |
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「アウトリーチ」は、支援者が対象者のもとへ出向いて支援することであり、訪問支援とも言われます。
近年は「支援者が支援が必要な人を発見し、積極的に情報や支援を届ける」という定義もあります(三品,2011)。
下記に特徴をまとめます。